「台風の目」という言葉がありますが、聞いたことはあるでしょうか。
台風の多い日本では、そのままの意味の台風の中心を意味していることもありますが、スポーツ関係のニュースなどで聞く言葉ともなっています。
なんとなく意味はわかるけど、どうしてスポーツでも言われるようになったのでしょうか。
「台風の目」そのもの言葉の意味からスポーツシーンでの使用意味を考察してみたいと思います。
台風の目の意味って?



そもそもの「台風の目」とはどういう意味なのでしょうか。
- ①台風の中心部の通称。目の周りには雲の壁が形成されていて内側は空洞になっている。周りに激しい雨や風をもたらしながらも中心部は比較的穏やか天候であることが多い。
- ②激動する物事において中心となっているあるいは影響を与えている勢力や人物のこと。
言葉のはじめとしては、①の意味だと思います。
衛星写真を見ると台風の真ん中はまるで目のように見えることからそのように呼ばれるようになったのでしょう。
次に②の意味ですが、台風の目そのものの状態が例えられているように思います。
中心となっているもの、影響をもたらしているものというのは、そのものは穏やかであったり、静かなものであったりします。
もちろん、一概には言えませんが影響あるものの周りがざわつくことで激動が起こるのではないかと思うのです。
中心そのものが荒ぶっているとそれこそ混沌とした状態になるでしょうね。
スポーツで言われるのはどうして?



オリンピックや世界大会などのスポーツイベントで言われることが多い「台風の目」ですが、ここでの意味は不確かな感じがします。
スポーツニュースなどを素人目で見ても、競技を引っ張っているような中心人物がいるように思います。
その人たちを中心にして、その人に追いつこうと頑張る人もいれば、その人を追い越そうとする人もいますし、その人のためにやりきるという人もいます。
それでいうと、やはり影響を与えるもの、その中心という意味合いも持ち合わせているのでしょう。
台風の目の様がよく似ているために使われるようになったと思われます。
このように前項の②のような意味合いがあるのかと思えば、優勝争いの中で予期されていなかった候補者が優勝することなどという意味もあるようなのです。
いわゆる、ダークホースや大穴と同じような意味でしょう。
そして、これは余談になりますが、驚くことに「台風の目」という運動会や体育祭の競技があるようなのです。(これは新発見でしたΣ(・□・;))
ルールなどは学校や地域によっても異なるようですが、4、5人で長い棒を持ってコースを走って競うというものがスタンダードのようです。
そのコースにはコーンが設置されていて、これを一回転してコースを進んでいきます。
このコーンでの回転がまるで台風の目のようだったのでしょう、競技の名前となったと思われます。
大昔はなんて言っていたのか?



ここでは「台風の目」の持つ「優勝争いの中で予期されていなかった候補者が優勝する」という意味をピックアップして考えてみたいと思います。
台風という言葉が定まったのは1956年(昭和31年)のことだそうです。
意外と最近のことですね。
古くは台風のことを「野を分ける風」、という意味で野分と言ったそうです。
ダークホースや大穴という言葉もいつから使われているのか、確かなことは不明です。
使われた可能性がある言葉としては、「伏兵」という言葉があります。
「思わぬ伏兵」は、これらの言葉に類似する言葉だと言えるでしょう。
こうして見ていくと、類義語がいろいろとあるものです。
最後に
言葉は生き物だと言われていますが、時代とともに使われ方や意味も変容していくものです。その一例として「台風の目」があるように思います。
日本語は言語的に複雑なものなので、母語としている人にとっては極端に難しいこともありませんが、いざ類義語などを考えてみると思いつかない、わからないということにもなります。
難しいですが、豊かな言語であることは間違いありません。
ニュースなどで「台風の目」が使われていることがあれば、今回の記事をふと思い出してみてくださいね。