工事現場などで見かける一輪車。
この一輪車ことを「ネコ」と呼ぶことをご存知でしたか?
実は「ネコ」とつく建築用語もちらほらあります。
今回は、どうして、一輪車ことを「ネコ」と呼ばれているのかという由来と方言じゃないのかという疑念と、さらに建築現場に根付いている「ネコ」について紹介してみましたので、ご参考にしてください。
一輪車をネコという由来とは?



コンクリートの残骸や土砂を運ぶのに使われる手押しの一輪車。
工事現場などでよく見かけますよね。
この一輪車、「ネコ」や「猫車」と呼ばれているそうです。
なぜ、そのような名前で呼ばれているのでしょうか。
その由来は諸説ありますが、有力視されているのが建設現場にあります。
板を渡しただけの幅の狭い足場のことを「ネコ足場」や「キャットウォーク」と呼んでいますが、ここを通るための一輪車をネコと呼んだのではないかという説です。
確かに、ネコは塀や石垣など細いところを歩いている姿をよく見かけます。
優雅に歩いたり、すばやく走って行ったり…その姿を想像すると、細い道を行くための一輪車をネコと呼ぶのも相応しい気がしてきますね。
また、一輪車を逆さに伏せたとき、丸まって寝ているネコのように見えるという説もあります。(かなり強引なような気がしますが)
さらに、
・壁などに塗る漆喰を練った「練り子」を運ぶための車を「ネコ」と呼んだとか、
・刀剣の材料となる良質な砂鉄や鉄鉱石のことを「ネコ」と呼びそれを運ぶ車も「ネコ」と呼んだ…とか、
ほんとうに諸説あります。
基本的に狭い場所を自由自在に運搬できる様をまるで”猫”のようだと言いたかったのでしょうね。
でも、中には、一輪車のことをネコと言うのは、方言の一種では思われる方もいらっしゃると思いますので、どんなものか確認してみましょう。
方言ではないような・・・



一輪車を「ネコ」と呼ぶとは言いますが、馴染みがある人もいれば首を傾げたいという人もいるのではないでしょうか。
この言葉は方言なのでしょうか。
調べてみた限り、方言だと思っていたという声もあれば、専門用語なので方言ではないという声もあります。
そして、そもそも一輪車をネコと呼ぶことを知らないという人も多いようです。
建築現場で使われていることから、専門用語説が有力そうですが、正直、明確な出どころはわかりません。
結論としては、方言ではないにしても、共通語とも言い難い言葉です。
ついでに、建築現場では意外にもネコ(猫)からみの用語ありますので、ご紹介します。
こんな言葉もある?



建築関係の言葉に「ネコ」が付いている言葉がいくつかあります。
建築の場では、なぜだか「ネコ」がよくいるようですね。(笑)
◯ 猫土台
基礎立ち上がりと土台の間に挟む物。直接土台を基礎立ち上がり部に触れさせずに浮かせることで、土台の腐朽防止、床下換気を効率よくする工法。基礎パッキンの別名としても知られている。土台のものなので、一般的にはあまり見ることがないもの。建築現場での用語だと言える。
◯ 猫間障子
猫間障子は猫が出入りが出来るように障子の一部が可動するようにしたもの。ネコは自由に出入り口が無いと、障子紙を破って出入りしてしまうので、障子の一部に小窓を設け、左右または上下に開くようにしている。雪見障子というとても似た障子もあるが、それはガラスが入っているのでネコの出入りができない。
◯ 猫足
膳や机などの脚の種類。上部がふくらみ、中ほどがやや細くなり、下部が丸くなっている。その形状が猫の足の形に似たもの。日本では寺社文化の仏具などに使われているのが見受けられる。西洋でも猫足と呼ばれるものがある。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ネコ」はいくつかの説によって一輪車を指していること、建築現場で使われる専門用語だと思われることなどがわかったと思います。
「ネコ」の謎が少しは解けたでしょうか。
その様が似ている、形が似ている、そういった共通点で全く違うものの名前で呼ばれるようになった道具がきっと他にもあることでしょう。そして、そこから派生した言葉も数知れません。
今回の「ネコ」を皮切りに、変わった呼ばれ方をしているものを探してみるのも面白いかも知れません。