少し前にブームになった熟成肉。
お肉は一定の期間熟成するとうま味が増すと言われ、熟成されたお肉がおいしいと言われていますよね。
しかし、熟成期間はまだ決まりがないため、安心で安全なのかは心配な点もあります。
なかには、カビの熟成のお肉もあり、カビの食中毒が気になりませんか?
そんな、熟成肉のカビについてと熟成肉のおいしくなる秘密と食べ方をご紹介します。
熟成肉のカビなどでの食中毒大丈夫なの?
カビなどの熟成肉と聞きますと、腐りかけた肉のイメージになってしまいがちです。
がしかし、一定の期間、温度、湿度を保つことで肉の酵素の働きによってタンパク質がうま味成分に変わります。



熟成肉の熟成には2通りの方法があります。
それは、レストラン関係に用いられているウェットエイジングと、アメリカで多いドライエイジングがあります。
ウェットエイジングとは、真空パックや布で包み、外気に触れさせないで一定期間に乾燥を抑えながら低温で、半月から1ヶ月程度寝かせます。
このウェットエイジング法は、カビが生えることはなく、寝かせることで余分な水分が抜けて、タンパク質やミネラルが凝縮されてうま味が増します。
一方ドライエイジングは、湿度60~80%で低温の高湿度で、肉の周りに空気が流れるように風を流し半月から一ヶ月半程度寝かせます。
このドライエイジング法は、熟成によって肉の表面が乾燥して固くなり、カビが生えて(食中毒が気になりますが)、外気中の菌を寄せ付けないため、肉は腐らず、痛むことはなく発酵します。もちろん食べる際には、カビを削ります。
そのため、熟成環境が整っていますと有害な菌が入らず保存食にもなります。
これは、ブルーチーズの青カビの発想と同じになりますね。
熟成肉と腐った肉の違い
熟成肉と腐った肉はどこが大きく違うのでしょうか。
熟成肉と腐った肉との違いは、タンパク質の分解の仕方なのです。
熟成肉は、肉の中に含まれる酵素によってタンパク質が分解していきます。
腐った肉は、肉の外に細菌によってタンパク質が分解していきます。
つまり、酵素と細菌の分解の違いようですね。
熟成肉には、法や定義がないため、それぞれの店の対応となりますので、食中毒が気になります。
ウェットエイジング法は、表面に細菌がついてしまいますと、熟成期間中に中まで浸透してしまうので食中毒につながってしまいます。
ドライエイジング法は、稀に青カビだけではなく他のカビも付着する恐れがあり、アレルギーや過敏性肺炎や発ガン性もあると言われています。
結論としては、ドライエイジング法による熟成肉のカビなどでの食中毒は大丈夫のようですが、安全して熟成肉が食べられるように、早く熟成法や定義を統一して安心したいですね。
では、どうしておいしくなるのかとその食べ方はどうしたらいいのかを見てみましょう。
おいしくなる秘密と食べ方とは?
熟成することで、酵素によってタンパク質が分解されてアミノ酸が増えてうま味が増し、繊維がほぐれることで肉が柔らかくなります。
つまり、熟成によってうま味が増すのがおいしくなる秘密のようですね。
熟成肉のおいしい食べ方は、スジの硬い部分は取り除き、肉の繊維の流れに沿ってカットすることで、厚みのある肉でも柔らかく食べることができます。
焼く前に、常温に戻しておくことがポイントになります。



最大限にうま味を引き出す熟成肉の焼き方は、肉汁をしっかり閉じ込める肉の塊(かたまり)状態で焼くことで、お肉の中心部にうま味を閉じ込めることでうまみを逃がさず焼きあがります。
厚生省の生肉表面加熱規格基準によりますと、「肉の中心部75℃1分以上の加熱をすること」、肉の塊(かたまり)の場合は、表面から「1㎝ 以上の深さまで、60℃2分以上加熱をする」の基準を守ることで食中毒を防ぐことができます。
基準を満たすことでレアでも安全に食べることができます。
と言うことは、熟成肉は、法や基準が曖昧のため、信頼のできるお店で食べることが大切なようですね。
魚でも熟成があるのか?
熟成肉があるように、お魚でも熟成することで、うま味と香りに違いがあるのです。
魚の死後硬直後に、体内のATPやADPが分解されイノシン酸のうま味成分がでます。



職人以外で魚を熟成させるのは、難しい面もありますが、次の二つの手間をかけることで可能に近い状態になります。
- 血を残さない(殺菌が最も繁殖しやすいため)
- 脂のでる部分と体液を取り除くこと(表面の油やけするため)
熟成魚を作るには、鮮度の良い魚を選び、低温で水分を抜きながら寝かせること美味しくなる秘訣になると言われています。
肉も魚も熟成するとおいしくなるのですね。
まとめ
大ブームになっていた熟成肉。
熟成するほど、うま味が増すと言われていますが、まだ、熟成肉の法や基準が曖昧のため、安心安全とは言えないため信頼できるお店で頂くことが安心できると思います。
また、自宅で作る際には、温度と加熱時間に気をつけることで食中毒を防げますが、肉自体に菌を保有していたら意味がありませんので、技術と知識がないとおすすめすることはできません。