小さなお子さんや高齢者を世話していると、どれくらいの水分補給をしたらよいのか迷うことがありますよね。
例えば、簡単な計算で確認しておくと、安心な対応できますよね。
ところで、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)という言葉を知っている方に質問です。
知らないうちに、汗をかくって、どれくらいの量なのかご存知ですか?
この不感蒸泄は場合によっては、かくれ脱水になり、熱中症の原因につながることもありますので、どれくらい水分が蒸発するのか確認することは大事です。
今回はその不感蒸泄の水分量の計算方法の仕方や一日の水分補給を調べてみましたので、一緒にみてみましょう。
不感蒸泄(ふかんじょうせつ)の計算方法
不感蒸泄(ふかんじょうせつ)の計算方法を知ることで、小児や高齢者にどれくらいの水分補給をすれば、いいのかわかると安心ですよね。
早速、不感蒸泄の計算の基本式を紹介しますと、以下の通りです。
具体的な計算仕方は、次の通りです。
例えば、体重50㎏のひとが、体温が36.0℃の時の不感蒸泄は、
15ml×50(kg)+200×(体温36.0℃-36.8℃)=750-160⇒590ml
という計算となり、590mlの不感蒸泄となります。
この計算式からわかる通り、体温の変化によって、不感蒸泄が変わります。
しかし、ご存知のように不感蒸泄は、知らないうちに皮膚や呼吸から水分として蒸発したものです。
単純に、この不感蒸泄の水分量を補給すれば、大丈夫と思いがちですが、実は違います!?
えっ、じゃどうすればいいのと思いますが、最初に一日に必要な水分量を算出することが重要なポイントとなります。
この一日の必要水分量の摂取方法は、食事中水分量と飲水などの食事外水分量となります。
一日の可能な摂取水分量=食事中水分量+飲水などの食事外水分量となります。
ただ、この一日の必要水分量の計算では、尿量や代謝水量など計測が難しいのが現実です。
そこで、簡単に算出できる簡易計算式があり、それを利用した方が便利です。
その簡易計算式を奈良県歯科医師会の資料によって紹介しますと
一日の必要水分量(ml/日)= 年齢別必要量(ml)× 実測体重(kg)
- 25~55歳の場合:35ml/kg/日
- 55~65歳の場合:30ml/kg/日
- 65歳以上の場合:25ml/kg/日
となっている。
小さい子供の場合は、成長の段階で一日の必要水分量は変化しますが、ナース専科サイトによると、次のように紹介しています。
- 学童(6~12歳):60ml/kg/日
- 幼児(1~6歳):100ml/kg/日
- 乳児(1歳未満):150ml/kg/日
それでは、小児と高齢者の一日の必要水分量を実際に計算してみましよう。
その前に、食事中水分量はどう計算するかが問題となりますね。
これも、実際に計測は難しいので、上記の奈良県歯科医師会の資料から食事1000Kcal で400mlの水分と計算するということなので、食事摂取Kcal×0.4という式を利用してみましょう。
では、早速、小児と高齢者の計算をしてみましょう。
小児
小学1年6歳女子、体温36.5℃、体重20 kg一日の食事で1300Kcal摂取された場合を計算してみます。
最初に、不感蒸泄を計算してみましょう。
15ml×20(kg)+200×(36.5℃-36.8℃)=240ml
不感蒸泄は、240mlとなります。
1.簡易計算式で一日の必要水分量を計算しますと、
100ml×20 kg=2000 ml
一日の必要水分量は、2000 mlとなります。
2.そこから、食事での水分量(1300Kcal×0.4)520 mlを差し引きますと、
2000 ml-520 ml=1480 ml となります。
結果として、飲料水としては、1480 mlを飲むと一日の必要水分量になります。
不感蒸泄は、240mlですが、それ以外にも水分が放出されていることがわかります。
身体全体に占める水分の割合は、成人では、約60%ですが、子供の場合は、それよりも高くなっています。
これは、基礎代謝が高いので水分量の割合がたかく、汗をかきやすくなっている。
そのために、一日の水分量が体重の割に高くなるのですね。
高齢者
70歳男性、体温36.5℃、体重50kg 一日の食事で1500Kcal摂取された場合を計算してみます。
最初に、不感蒸泄を計算してみましょう。
15ml×50(kg)+200×(36.5℃-36.8℃)=690ml
不感蒸泄は、690mlとなります。
簡易計算式で一日の必要水分量を計算しますと、
25ml×50kg=1250 ml
が一日の必要水分量となります。
そこから、食事での水分量(1500Kcal×0.4)600 mlを差し引きますと、
1250 ml-600 ml=650 ml となります。
飲料水としては、650 mlを飲むと一日の必要水分量になります。
不感蒸泄は、690mlですが、水として補給は、それほど多くないですね。
先ほどの小児と比べると、かなり少ない水分量となりますね。
がしかし、これは、あくまで、目安となります。
実際には、体温の変化などで汗の量が変わってきますので、一日の必要な水分も変化するのは、当然ですね。
ここでもう一度、不感蒸泄のことについてどんな見方をしたらいいのかを考えて見ますと、通常の汗と違って、生命維持のために蒸発している水分です。
特に体温変化対応して水分量が変化しますので、小児や高齢者に対する水分の補給が大切と言えますね。
そのために、不感蒸泄と普通に出る汗はどんな違いがあるのかを認識することも大事です。
不感蒸泄と汗の違いとは?
最初に、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)をわかりやすく言うと、知らないうちに体内から水分が出ていることです。
もう少しかみ砕いて説明しますと、人間は気づかないうちに常に体から水分が蒸発していています。
つまり、生きていくために、水分が皮膚や呼吸から知らない間に水分が失われていくということです。
感じない汗の放出
普通の汗と違うのは目に見えない点です!
排出の水分量はその時の条件で大きく変わりますが、健常な成人が安静にしている状態で1日約900㎖の水分量が不感蒸泄として体外へ排出されているといわれています。
で、目に見える水分として排出されるのは、汗で、意識して汗を感じますので、言葉として発汗と言われています。
その発汗と不感蒸泄は、どんな違いがあるのを見てみましょう。
通常、発汗には、次の3種類があります。
【温熱性発汗】(運動による汗、暑い時に体温を調整するために出る汗)
発汗部位→手のひらや足の裏以外の皮膚から発汗。
量→多い
時間→長い
【精神性発汗】(興奮したり、感動、興奮した時の汗)
発汗部位→手のひらや足の裏
量→少ない
時間→短い
【味覚性発汗】
辛い物を食べた時に出る汗。
量→胸や顔などに多い
時間→食べ方により長短あり
【不感蒸泄】(常に体から蒸発している汗)
発汗部位→全身
量→一定
時間→常時
そして、先に述べたように不感蒸泄は、皮膚や呼吸から放出されるので、意識していない点から、かくれ脱水よる熱中症の原因にもなります。
ちょっと、気になりますのでどうことなのか見てみましょう。
かくれ脱水よる熱中症の原因に?
不感蒸泄は目に見えないので、水分補給をしないと知らない間に脱水症状を起こしてしまう危険があります。
特に子供や高齢者は意識的に水分補給が必要です。
不感蒸泄(ふかんじょうせつ)の計算でも説明したように、子供は汗をかきやすく不感蒸泄も多いです。
子供に関しては、大人よりも代謝が良く、尿量も多いので水分や栄養を多く必要としていることはわかります。
一方、高齢者は食も細くなり、体の中で水分を蓄えておくことができる機能も徐々に低下していきます。
不感蒸泄で全身から常に一定量の水分がでているも事実なのですが、汗をかいてタオルで拭いたなどという行為もないので、のどの渇くという感覚も鈍ります。
夏はもちろんのこと、秋や冬になると汗もかきにくくなるのでさらにその感覚が鈍ってしまうので、寒い季節でも油断していると熱中症になりやすいのです。
では、どんな対策がいいのでしょうか。
不感蒸泄(ふかんじょうせつ)対策
小児と高齢者ともども、夏だけでなく冬でもなる不感蒸泄にはどう対応していけばいいでしょうか。
季節を問わずに言える対策は、ただ一つです。
一日の必要水分量のこまめな水分補給
です。
飲み方ですが・・・
水分は一気にがぶ飲みするよりも、一日の必要水分量をこまめに少しずつ補給する方が良いです。
特に冬になると低湿度になり、乾燥します。
湿度が下がると体内の水分は知らない間にどんどん奪われていき、かくれ脱水状態になってしまいます。
現代の住宅は気密性が高く、さらに暖房器具を使うので室内の方が外より湿度が下がりやすくなっています。
部屋では、加湿器を使うことが有効で便利な対策です。
まとめ
再度言いますが、水分は一気にがぶ飲みするよりも、こまめに少しづつ補給する方が良いようです。
私も朝起きた時と寝る前にはコップ1杯の水を飲むようにしていますが、冬になるとどうしても意識して飲むことが少なくなってしまいます。
また、なぜか1日に2リットルの水を飲むと良いと言う人もいますが、胃腸が弱い人は飲み過ぎない方がよいなど、体質によって違いもありますが・・・
一日の必要な水分量は、しっかり計算して目安でチェックしておきましょう。
そして、情報だけに頼らず、自分の体に向き合ってみることも大切ではないでしょうか。
今回、冬にも脱水症状を起こす危険性があることを知ったので、冷え性の体質改善も合わせて温かい飲み物で体を温めながら、水分補給を心がけていこうと思いました!(^^)!