山芋のとろろって食べたことがありますか?
山芋のとろろは、昔は当たり前のようにどの家庭の食卓でおかずの一品として出されることがありましたね。
最近では、たまに10月の下旬から12月いっぱいに青果店で見ることがあります。
でも、あの山芋って、滋養強壮に良い食材と言われますが、他にどんな栄養や効能があるのでしょうか。
そこで、今回、知人である管理栄養士のshiさんに山芋の栄養や効能などについて説明していただきましたので、参考にしてください。




はーい!わかりました。できるだけわかりやすく山芋について、ご説明しますね。
山芋は、今となってはあまり馴染みのない食材ですが、秋から冬にかけて見かけることがありますね。
そこで、今回は、
- 山芋の栄養
- 山芋の効能
- 栄養を効果的に取れる食べ方
- 調理の際の注意
- 山芋の正しい保存法
について、説明をしますので一緒に見てみましょう。
山芋の栄養について
まず、山芋の代表的な自然薯と大和芋(やまといも)、スーパーなどで販売されている長芋の栄養成分表を旬の食材百科から抜粋しましたので見てみましょう。
100gあたり | エネルギーcal | 水分量(g) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | カリウム(mg) | ビタミンB1(mg) | ビタミンC(mg) | 食物繊維(mg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自然薯 | 121 | 68.8 | 2.8 | 0.7 | 68.8 | 590 | 0.13 | 5 | 2.5 |
大和芋 | 108 | 71.1 | 4.5 | 0.5 | 71.1 | 590 | 0.15 | 7 | 1.4 |
長芋 | 65 | 82.6 | 2.2 | 0.3 | 82.6 | 430 | 0.10 | 6 | 1.0 |
ざっと山芋の栄養分析表を見てみますと
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- カリウム
- ビタミンB1
- ビタミンC
- 食物繊維
上記以外にも葉酸、パントテン酸、ビオチンなども含まれてビタミン、ミネラルなどバランスよく含まれた食材なのですね。
さらに、山芋には、でんぷんを含む食材の消化分解酵素のアミラーゼやジアスターゼ、胃の粘膜を保護するネバネバのムチン、脂質を溶かすサポニンなども含まれています。
(消化分解酵素のアミラーゼやジアスターゼは大根おろしにもありますよ)



ここまで山芋の素晴らしい栄養素を見てきましたが、次はどんな効能があるのかをお伝えします。
山芋の効能について
山芋の効能には、次のようなものがあります。
- 消化を助ける
- 疲労回復、滋養強壮
- 血糖値の上昇を抑える
- 糖尿病の予防
- 抗酸化作用
- 血圧の上昇を抑える
- 美容効果(糖質を消費、むくみを抑える、便秘予防)
それぞれの効能について説明しますね。
- 消化を助ける
山芋に含まれる消化酵素アミラーゼやジアスターゼは消化を促して栄養の吸収を効率よくする。胃の働きが今ひとつの方にはおすすめです。
- 疲労回復と滋養強壮
消化酵素アミラーゼやジアスターゼは、消化を助けるだけでなく、栄養の吸収を促進します。その結果、疲労回復、滋養強壮につながります。疲れた時や力仕事の後にいいです。
- 血糖値の上昇を抑える
山芋のムチンには、血糖値の上昇を抑え糖尿病の予防につながります。さらに、コレステロール値の低下を促す働きがあります。
- 脂質の吸収を抑える
山芋のサポニンは、脂質を溶かす働きがあるため、余分な脂質の吸収を抑える働きがあります。脂肪体質を改善したい方にはいいですよ。
- 抗酸化作用
コレステロールや中性脂肪などの脂質が活性酸素によって酸化されたもの抑制する働きがあります。中性脂肪が高めの方にはおすすめですね。
- 高血圧と動脈硬化の予防
山芋に含まれるコリンは、高血圧と動脈硬化の予防する効果があります。血圧が気になる人は積極的に摂ることをおすすめします。
- 便秘解消
山芋の食物繊維は、水に溶けてネバネバで腸内環境を整えて、軟便にして便通をスムーズにします。美容効果としてもいいですね。
- 血圧の上昇を抑える
カリウムは、余分なナトリウムを排出して血圧の上昇やむくみを抑えてくれます。立ち仕事が多い方は試してみてはどうでしょう。
なお、糖質については、100g中に含まれる糖質量を見てみますと
- 自然薯(生)25.7g
- 大和芋(生)26.9g
- 長芋(生)14.1g
となっていますので、糖質制限をお考えの方はスーパーなどで販売されている長芋の方がいいようです。
より栄養を効果的に取れる食べ方について
たくさん効能がある山芋ですので、栄養がより取れる食べ方をしないと損しますよね。
加熱に弱い
山芋と言えば、あの粘りですが、実は、加熱すると粘りが無くなると同時に、栄養も無くなってしまいます。
そうなると、どうしても定番である「とろろ」がいいようです。
確かに、熱々のご飯のとろろや山芋入りのお好み焼きなどで美味しそうに感じますが、ほぼ栄養素が壊れてしまいますので注意してください。
食べ過ぎの注意
ご飯の上に、とろろを載せて食べている方が多いと思います。
ついついおいしくて食べ過ぎたことってありますよね。
ただし食べすぎると胃に負担がかかりますし、太る原因にもなるので、腹八分で抑えましょう。
山芋の調理の注意
調理するときの注意としては、シュウ酸カルシウムの針状の結晶が、直接皮膚を刺激して触れるとかゆくなってしまうので、直接手に触れないようにラップや手袋を活用しましょう。
栄養を逃さない調理の方法
栄養を逃さない調理の方法としては、やまり「なま」で食べることが一番です。
- 定番のとろろ
すりおろしたら、だし汁を上手入れてお好み味にしてくださいね。のり風味を効かせるのもいいですよ。
自然薯の作り方の動画がありましたので、参考にしてくださいね。
- 和え物
短冊に山芋を切って、旬の野菜を味噌和えや梅和えにしてみるとおしゃれな一品になりますよ。
- 山芋の千切り
山芋を千切りしてわさび醬油でおつまみとして食べるといいです。
食感を楽しむ食べ方
栄養は壊れてしまいますが、ホクホク感を楽しめる食べ方もあります。
- フライパン焼き
山芋を輪切りにしたものを塩コショウで味付けして、フライパンでサラダ油で焼くだけです。ホクホクしておいしいですよ。
- ベーコン巻き
アスパラのベーコン巻きを短冊の山芋に変えただけです。もちろん、豚肉で巻いてもいいですよ。
長芋(山芋)の肉巻きの動画がありますので、参考にしてください。
こんな素晴らしい食材の山芋です。次の章では正しい保存の仕方についてお伝えします。
山芋の正しい保存法
栄養がなるべく落ちない保存法を知っておくと、効能もしっかりしますよね。
保存方法として、パターン別に紹介しますね。
- 生の現物の場合
生の山芋の保存方法は、丸ごと新聞紙で包み風通しのよい冷暗所へ保存する。
- 切った場合
切った切り口から水分が蒸発するので、ラップで包み冷蔵庫保存がおすすめです。
- すりおろした場合とやせん切り場合
すりおろしやせん切りにしたものは、冷凍保存が可能なので使いたいときに簡単食べることができ便利です。
- 焼いた場合
これは、通常の料理と同じくラップして冷蔵庫で保存でいいです。
最後に


shiさん、ご説明ありがとうございました。
山芋ってとても素晴らしい食材だったのですね。Σ(・□・;)
山芋は「山のうなぎ」とも言われ、その滋養強壮効果や疲労回復効果が、疲れ知らずの体にしてくれます。
市場出荷として多くなる、6~8月、11~12月が旬です。
日頃なかなかお店に並びませんが、そんな旬の時期にはぜひ積極的に食べたいものです。おいしさがぎゅーっとつまっていて美味しいですよ。
山芋は年に数回の楽しみとして、スーパーの長芋でも栄養はほぼ同じですので、普段はこちらを積極的に食べることをお勧めします。
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